当院でのCT検査件数は、3台で年間14000~15000件あります。そのほとんどが、頭部領域となっています。外来で検査をする場合、約2~3分で終了します。
頭部単純CT
図1はスライス厚が5mmのものです。当院では最小スライス厚0.625mmでデータ収集をしているため、検査終了後再構成をすることにより、図.2~4のような立体的な画像を作成し骨折等の骨の状態や、皮膚表面の状態も観察することができます。
3D-CTA(3次元脳血管造影)
ヘリカルCTやマルチスライスCTなどのCT技術を用いて、脳の血管を立体構造として3次元に描出する検査方法です。CT撮影用の造影剤(約60ml)を自動注入機で腕の静脈から注入することにより、頭部領域の血管の造影・観察ができます。
現在、当院では、GE社製 Signa Excite磁場強度1.5T (1T=10,000ガウス)のMRI装置が2台稼働しております。
検査時間は15分〜30分程度で、患者様はベッドに横になるだけでMRI検査が受けられます。
当院のMRI装置では、体の血管を描出するMRA、超急性期の脳梗塞を捉えられる拡散画像(ディフュージョンイメージ)、脳の血流状態を捉えられる灌流画像(パーフュージョンイメージ)等の最新の画像の提供が可能となっております。
検査の流れ
MRI検査を受けられない場合
MRI検査を行うにあたって次に該当する方は検査ができない場合がありますので,予約時に主治医、看護師にお知らせ下さい。また看護師に渡されたチェックリストに必ず記入してください。
- 心臓ペースメーカーをつけている方
- 体内に脳動脈瘤クリップや人工内耳、人口関節など金属が埋め込まれている方、その他の手術経験(子供の頃から)
- いれずみ
- 妊娠中もしくは妊娠している可能性がある方
- 閉所恐怖症など狭い場所が苦手な方
その他の留意事項
次のものは検査に影響または破損する恐れがありますので取り外してください。チェックリストに必ず記入してください。
【金属類】
時計、眼鏡、入れ歯、鍵、ヘアピン、補聴器、義足、ネックレス等のアクセサリー類、携帯電話等、コルセット(金属の補強材が入っているもの)、ブラジャー、スリップ(肩紐の調整金具かついているもの)
【磁気カード】
キャッシュカード、クレジットカード、テレフォンカード、定期券等
【その他】
カイロ、エレキバン、ニトロダーム・ニコチンパッド等の貼布薬、コンタクトレンズ 等
臨床画像
脊髄の画像 頚髄~上部胸髄
腰髄~仙髄
3T-MRI
広南病院併設の東北療護センター地階に設置
正式名称: SIGNA EXCITE HD 3T
使用開始: 2005年12月
3T-MRI:
3Tとは、使用している磁石の強さ(静磁場強度)が3T(テスラ)であることを表しており、広南病院に設置されているMRIの2倍の強度を有しています。
静磁場強度が大きくなる利点
SNRが改善されます。磁場強度が2倍になればSNRも、理論的には2倍になります。ということは、撮影時間を短縮させることが可能になります。または、画像の解像度を高くすることも可能になります。
また、MRA(血管撮影)の血管描出能が高くなります。微少な血管の描出も可能になります。ケミカルシフトが大きくなります。このことにより、MRS検査では、ピーク分離能が向上します。
静磁場強度が大きくなったときの欠点
磁性体を引き寄せる力が大きくなります。検査室にはいるときには、身につけている金属類の有無によりいっそうの注意が必要になります。
また、脳動脈瘤クリップなどの金属のうち、従来(1.5Tの)MRI検査が可能であった種類の物であっても、3T-MRIで安全が保証されない物も出てきます。動きの影響を受けやすくなります。
当院では、これらの特徴を考慮して、3T-MRI を、主に脳ドック検査・血管内手術において脳動脈瘤のコイルによる塞栓術の術後フォロー検査、血管内のプラーク検査・頭部全体をボリュームとして撮影する検査・下垂体腫瘍の方の術前検査などに活用しています。
かつては頸部の動脈に直接穿刺することもありました。また、高浸透圧の造影剤のため頭部熱感があり苦痛を伴う検査でもありました。1980年代頃から直接穿刺しないセルジンガー法が主流になってきました。これは鼠径部の動脈(又は手首の橈骨動脈)からカテーテルという細長い管を挿入しX線透視下で前述の4本の血管をそれぞれ選択的に造影撮影する方法です。
造影剤も低浸透圧の薬剤の開発により熱感は少なくなってきています。血管の形状、動体の観察はもとより、回転DSAによる3次元撮影も可能で、より詳細な情報を得ることができます。また最初に針を刺す部位は局所麻酔なので検査中は医師や周りのスタッフと会話することも可能です。
脳腫瘍、脳内出血などの脳血管の偏位をきたす病変、脳動脈瘤、脳動静脈奇形、海綿静脈洞瘻、脳血管の狭窄、閉塞、もやもや病、血管スパズムなど
図1は血管撮影室です。装置はGEヘルスケアジャパン社製Innova IGS 630. ワークステーションを2台備え放射線技師側操作卓の周りには液晶モニターが10台あり、撮影の条件やオートインジェクターで造影剤の流量やタイミングを調整します。バイプレーンFPDを搭載し、より低被ばくで高画質な検査を実現しています。 施行医は手元のジョイステックで2つのアームを自由に角度を変え動かすことが可能です。
脳血管撮影室では診断的脳血管撮影や手術を目的とした脳血管内治療があります。
脳血管内治療は診断脳血管撮影よりさらに細いマイクロカテーテルを用いてより深部まで挿入し、身体にメスを入れることなく手術を行うことができます。プラチナコイルを用いて脳動脈瘤を治療するコイル塞栓術や狭窄した血管をステントや薬剤を用いて広げる拡張術などあります。
図2は脳腫瘍(Meningioma)です。MR画像でその大きさがわかります。右ECA(外頸動脈撮影)にて腫瘍の大きさと細い血管が無数に入っているのが観察されます。
図3は左MCA(左中大脳動脈)分岐部にできた未破裂脳動脈瘤です。3D-DSAの画像からワークステーション上で動脈瘤の大きさを測定したり、いろいろな角度から観察し最適なアングルを決定します。 開頭によるクリップ術後のフォローアップは3D-CTAです。
図4はSAH(くも膜下出血)で救急搬送された症例です。CTにて出血を認めます。直ちに脳血管撮影となりました。左ICAから血管撮影を行いAcom(前交通動脈)に脳動脈瘤を認めSAHの出血源と思われました。3D-DSAによる動脈瘤の計測では3.8mm× 4.6mmの大きさです。コイル塞栓術を行い脳動脈瘤の再破裂を防ぐことができました。
図5はBA(脳底動脈)にできた巨大動脈瘤です。多数のコイルを詰め込み動脈瘤の破裂を防ぎます。CT画像ではSAHを認め巨大動脈瘤の辺縁もわかります。動脈瘤の大きさは12.6mm × 14.6mmです。1本目のコイルは動脈瘤の内辺に沿ったフレームを型作る必要があるためより慎重に行われます。コイルの長さは20~30cmあります。順次太さや長さや素材を変えサイズダウンしながら動脈瘤の中を詰めていきます。
図6は内頸動脈にできた動脈瘤ですがその頸部が広いためコイルの脱落が懸念されます。動脈瘤からのコイル脱落を防ぐためにステントを留置します。
図7はAVM(脳動静脈奇形)です。前大脳動脈と中大脳動脈からAVMに血液流入が認められます。末梢血管までマイクロカテーテルを挿入しONYXという塞栓物質を注入し血管を塞栓します。単純写真にてONYXが残って写っています。
図8は右片マヒの症例です。DWIにて左MCA領域に高信号域を認めます。MRAで左M1の塞栓を疑われます。左IC撮影にてM1のところに血栓があり血流が遮断されています。発症後3時間以内であれば血栓を溶かすtPA静注療法も可能ですが、それ以上だとtPA静注しても脳内出血等のリスクが高まりtPA静注療法は適応外となります。そこで血栓を物理的にかき出す血栓回収用デバイスSolitaireを使用しました。マイクロカテーテルをM1の血栓近くまで挿入しSolitaireを展開しからめ取る形で血栓を回収します。血栓回収用デバイスによって血栓が取り除かれMCAの末梢まで血流が再開通しました。
図9は脳梗塞の原因となる内頚動脈起始部の80%狭窄頸動脈狭窄症です。
外科的にはCEA(頸動脈血栓内膜剥離術)の適応ですが、高齢などのリスクを考慮しCAS(頸動脈ステント留置術)を施行しました。3D-DSAにてどの程度の長さが必要か正確に測定します。ステントを留置することにより血流が改善されています。
当院でのCT検査件数は、3台で年間14000~15000件あります。そのほとんどが、頭部領域となっています。外来で検査をする場合、約2~3分で終了します。
画像
スペクト(SPECT)画像 |
任意の断面をみる断層画像 |
プラナー(planar)画像 |
正面や側面などある方向からみた投影(平面)画像 |
数値
(脳)血流値 |
(脳)組織に流れている血流量 |
摂取比 |
臓器・組織に放射性医薬品が取り込まれる割合 |
CTやMRIの画像は、臓器の形状や出血・梗塞の有無など形態そのもの(形や構造とその変質:解剖学的情報)をみていることから≪形態画像≫というのに対し、核医学検査の画像は、放射性医薬品が臓器・組織へ取り込まれる度合いや保持される程度(臓器や組織の活動に応じた薬剤の動き:生理的情報)をみていることから≪機能画像≫といいます。つまり、同じような画像であっても得られる情報は異なり、CTやMRIの弱点である臓器・組織の活動状態をみることができるということが最大の利点になります。
当院では、検査目的や対象となる臓器・組織により放射線医薬品を使い分けるとともに、画像や数値を併用することにより診断・治療に役立てています。
当院での主な検査目的
- 脳血流状態の把握
- 安静時と脳血管拡張時の血流状態の変化(負荷試験)による治療方針や手術後の管理方法の決定
- 正常の脳血流分布と患者本人の脳血流分布との統計学的な比較による神経変性疾患(認知症、アルツハイマー病など)の鑑別
- 血液プール部位の把握(検出)
- 脳腫瘍の悪性度の判定
- てんかん焦点の検索
- 脳脊髄液漏の検出
- 心臓交感神経の分布・機能評価
核医学検査の流れ
放射性医薬品投与(静脈注射)⇒ 臓器・組織に集積するまで安静待機 ⇒ 撮像となります。投与する放射性医薬品により(=検査目的により)検査時間は様々ですが、当院で主な検査である脳血流SPECTでは全体で約1時間かかります。撮像(最長30分)はあお向けに寝て行いますので、あお向けに寝るのがつらい方や長時間じっとしていられない方は、放射線技師または看護師にお伝えください。また、1度撮像を始めると、途中で中断することはできませんので、事前にトイレを済ませておいて下さい。なお、検査によっては、放射性医薬品の臓器・組織の保持の程度をみるために3~4時間後に再度撮像を行う場合や、脳血流値(数値)を求めるために動脈採血を行う場合があります。
放射性医薬品ついて
放射性医薬品は、特定の臓器・組織に集積する物質に、微量の放射線を放出する放射性同位元素(ラジオアイソトープ:RI)の目印を付けた薬剤です。体内に投与する薬剤ですので被ばく低減の観点から、半減期*が短いRIを使用しているとともに、投与後は速やかに排泄物として体外へ排出されます。また、放射性医薬品の質量あたりの放射能が強いため投与量が少なくてすみ(1~5ml)、薬剤中の人体に作用する成分も非常に少ないことから(一般治療薬の千分の1~百万分の1)、副作用の発現率はとても低くなっています。平成17年度のアイソトープ協会の報告では、副作用の発現率は10万件あたり1.5件(0.0015%)であり、発疹・嘔気・悪心・皮膚発赤など放射線の影響ではない症状が確認されています。
【半減期】
放射能(放射線を放出する能力)の量が半分に減る時間のこと。半減期が短いほど放射能が早く減っていくことになり、被ばくが少なくなる反面、データ量(計測する放射線量)も少なくなってしまいます。データ量が少なすぎると信頼性のある画像・数値が得られないため、半減期はある程度の長さが必要となり、それに適したRIが用いられています。当院で使用している放射性医薬品の半減期は次のとおりです。
検査目的 |
放射性同位元素 |
半減期 |
脳血流、血液プール |
99mTc |
6.01時間 |
脳血流、心筋、てんかん焦点 |
123I |
13.27時間 |
脳脊髄液腔(脳槽) |
111In |
67.32時間 |
腫瘍 |
201Tl |
72.91時間 |
一般X線検査
X線を照射して写真を撮る検査です。X線は体を透過する時、体の組織(骨、筋肉、軟部組織など)によって、吸収されます。 透過後のX線の強弱を写真にしたものが、X線写真です。 肺や心臓、腸管ガスの状態や骨折などの診断、体内のチューブやクリップ、コイルなどの状態を観察するのに撮影します。
当院では、CR(computed radiography)システムによるデジタル画像処理を行い、それぞれの部位に適した濃度とコントラストになるよう、被曝線量を低減しつつ、最適な画像の出力に努めています。画像データはサーバーに蓄えられ、院内構築されたPACSにより診察室や病棟でいつでも観察することができます。
検査時の注意
X線写真には、金属やプラスチックが写ります。撮影する部位にボタンやチャック、ホック、ヘアピン、ネックレス、ピアスのようなアクセサリーなどがあると診断に支障をきたしますので、取り外して頂くことがあります。
場合によっては、更衣をお願いすることもあります。
ポータブル撮影装置
患者様の状態によっては、撮影室まで移動や搬送が出来ない場合があります。 そのような患者様の所まで放射線技師が出向いて、移動式撮影装置でX線撮影します。
外科用X線TVシステム(外科用イメージ)
手術室において使用する可動式の小型透視装置です。体内の様子をリアルタイムに透視像で観察できます。
当院では、主にVAシャント術や下垂体腫瘍摘出術などで、位置確認の際に使用しています。
可動式血管撮影装置
透視像の観察だけでなく、DSA撮影(血管撮影)が可能な可動式装置です。
当院では、外科的手術と血管内手術を同時に行う場合の血管撮影装置として、他、脳動静脈奇形摘出術後の確認の血管撮影など、手術室内で血管撮影が必要な時に使用しています。
手動で操作するCアームは、あらゆる方向からのアプローチが可能で、開頭手術での複雑な位置合わせにも対応できます。